今、少なくとも意識的な美術家において「自然に」製作することはある種の韜晦になりましょう。以下のリストは、アトリエがアトリエとしてありうるための基礎に他なりません。版元品切れ本も多数ありますが、その事自体が日本の美術/芸術に関わる人々への提言にもなっているのではないでしょうか。なお、コメントのあるものは全て松浦氏本人によるものです。

※このリストは2010年10月から、旧ジュンク堂新宿店で開催された「芸術を学ぶ」選書フェアにて配付されたものです。


阿部良雄

すべての著書
近代性の歴史的/理論的次元の理解のために不可欠な手引き。またその文体的な美しさにも注目すべき。

磯崎 新

建築の解体(美術出版社)

岡崎乾二郎

ルネッサンス 経験の条件(筑摩書房)
芸術の設計(フィルムアート社)

岡田温司 

半透明の美学(美術出版社)

小林康夫

青の美術史(平凡社ライブラリー)
無の透視法(水声社)
小林康夫のもっとも美しい書物のひとつ。

佐々木正人

レイアウトの法則(春秋社)

鈴木了二

非建築的考察(筑摩書房)

谷川 渥

鏡と皮膚(ちくま学芸文庫)
形象と時間(白水社)

田中 純

ミース・ファン・デルローエの戦場(彰国社)

蓮實重彦

映像の詩学(ちくま学芸文庫)
映画の神話学(ちくま学芸文庫)

藤枝晃男

ジャクソン・ポロック(東信堂)

松浦寿輝 

平面論(岩波書店)

峯村敏明 

彫刻の呼び声(水声社)

宮川 淳

鏡・空間・イマージュ(水声社)
美術史とその言説(水声社)
紙片と眼差とのあいだに(水声社)

谷川俊太郎 

定義
日本語で書かれたもっともデュシャン的な書物。


シャルル・ボードレール

全集(人文書院)

ステファンヌ・マラルメ

全集(筑摩書房)

マルセル・プルースト

失われた時を求めて(ちくま学芸文庫)

ビオイ=カサーレス 

モレルの発明(水声社)
物体とその像との一致、というデュシャン的なレディメイドの最良の定義を見出だすことができる。

オクタヴィオ・パス

マルセル・デュシャン論(水声社)

クレメント・グリンバーグ  

グリンバーグ批評選集(勁草書房)

ハロルド・ローゼンバーグ 

新しいものの伝統(紀伊国屋書店)

ロザリンド・クラウス

オリジナリティーと反復(リブロポート)

イヴ=アラン・ボワ 

マティスとピカソ(日本経済新聞社)

スーザン・ソンタグ

反解釈(ちくま学芸文庫)

ユベール・ダミッシュ

雲の理論(法政大学出版局)

ルイ・マラン

絵画を破壊する(法政大学出版局)

ヴィクトル・ストイキツァ

影の歴史(平凡社)

ジョナサン・クレーリー

知覚の宙吊り(平凡社)

エルンスト・ゴンブリッチ

棒馬考(勁草書房)

ピエール・フランカステル

絵画と社会(岩崎美術社)

ジョルジュ・ディディ=ユーベルマン

フラ・アンジェリコ(平凡社)

ジョルジュ・プーレ 

プルースト的空間(国文社)

ロラン・バルト 

明るい部屋(みすず書房)
美術論集(みすず書房)

ジル・ドゥルーズ 

プルーストとシーニュ(法政大学出版局)
フランシス・ベーコン 感覚の論理(法政大学出版局)
ベーコン論としてと同時にセザンヌ論として。グリンバーグ/フリードの差異にも注目すべき指摘がある。

ジャック・デリダ 

盲者の記憶(みすず書房)

ミシェル・フーコー

マネの絵画(筑摩書房)

ピエール・クロソフスキー

ディアーナの水浴(水声社)

ジャン=フランソワ・リオタール

非人間的なもの(法政大学出版局)

ジャン=ポール・サルトル

存在と無(ちくま学芸文庫)

モーリス・メルロ=ポンティ

見えるものと見えないもの(みすず書房)
眼と精神(みすず書房)
セザンヌの作品の美しい哲学的ミメティスムとして

ジャック・ラカン

精神分析の四基本概念(岩波書店)

ガスケ

セザンヌ(岩波書店)
バルザックの「知られざる傑作」、ストローブ=ユイレの「セザンヌ」、「ルーヴル美術館」とともに。

ドラン

セザンヌ回想(淡交社)
セザンヌにおける感覚の組織化の論理の明晰な定式化を知るため

ジャン=クロード・レーベンシュタイン

セザンヌのエチュード(三元社)

ロジャー・フライ

セザンヌ論(みすず書房)

マティス

画家のノート(みすず書房)

アルベルト・ジャコメッテイ

エクリ(みすず書房)

マーク・ロスコ

芸術のリアリティー(みすず書房)
複雑な思考を単純な形式で提示することを課題とする画家の思考を知るために。川村美術館のニューマン展とともに。

マルセル・デュシャン

デュシャン著作集(未知谷)

カール・アインシュタイン

黒人彫刻(未知谷)

ジョン・ケージ

サイレンス(水声社)

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